令和2年度 山本第三病院 指標
- 目次 -
- 1. 年齢階級別退院患者数
- 2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 5. 脳梗塞の患者数等
- 6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数
10歳代から入院されていますが、70歳以上の方が多く、これらの方で全体の約7割を占めています。
1番多い年代は、70歳代で全体の33.6%となり、次いで多いのが80歳代で全体の27.9%となっています。
これらの数値からも、地域の高齢化社会を反映しているものと考えられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
・『誤嚥性肺炎』が一番多い疾患となっています。高齢の患者様で嚥下の悪い方が誤嚥して発症するのが『誤嚥性肺炎』です。
当院では、誤嚥性肺炎の再発予防の為、嚥下機能訓練を積極的に行っています。
・2番目に多い疾患は、『腎臓または尿路の感染症』となっています。
腎臓などに細菌が感染する急性腎盂腎炎の方が多く、高齢の方に多い病気です。
・3番目に多い疾患は、『小腸大腸の良性疾患』となっています。大腸の良性ポリープ等を内視鏡的に切除を行っています。
・4番目に多い疾患は『体液量減少症』となっています。『体液量減少症』とは、脱水症のことです。
近年の高温化の影響で多くなっていると考えられます。
・5番目に多い疾患は、『心不全』となっています。
心不全とは、何らかの原因で、心臓の機能が悪くなる病気です。投薬・注射での治療が主になります。
・平均在院日数は、全国平均より長くなっていますが、当院は高齢の方が多く、疾患の再発が多くなり、入院期間が長くなる傾向にあります。
外科
・外科で1番と3番目に多い疾患が、『結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍』となっています。結腸がんに対して、抗がん剤を投与する化学療法を行っています。
・1番目と3番目の違いは、選定する抗がん剤の種類に違いがあります。
・2番目と4番目に多い疾患は、『直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍』となっています。直腸がんに対して、抗がん剤を投与する化学療法を行っています。こちらも、結腸がんの場合と同じく選定する抗がん剤により違いが生じています。
・5番目は、内科の3番目と同じで『小腸大腸の良性疾患』となっています。大腸の良性ポリープ等を内視鏡的に切除を行っています。
・平均在院日数は、全てで全国平均より短くなっております。スケジュールを組み、予定入院、予定退院とすることにより短くできていると考えます。
・当院では、患者様の体の負担の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っています。
整形外科
・1番多い疾患は『股関節・大腿近位の骨折』の患者様で、転倒などにより受傷する場合が多いです。
人工骨頭挿入術やγ-ネイルと呼ばれる髄内釘を使って骨折観血的手術を行います。
・2番目は『胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む)』が一番多くなっています。
高齢の患者様が腰痛で受診され、骨折と診断される場合が多くなっています。
・3番目は『鎖骨・肩胛骨の骨折』となっています。鎖骨は非常に骨折しやすい骨で、プレートやワイヤーによる固定手術を行っています。
・4番目は『前腕の骨折』となっています。転倒し手をついたときに骨折しやすい箇所です。一時的創外固定手術や、プレートによる骨折観血的手術を行っています。
・5番目は『脊柱管狭窄(脊椎症を含む。)腰部骨盤、不安定椎』です。手術は行わず、安静やリハビリをメインに治療をおこなっています。
・平均在院日数は、全国平均より長くなっています。高齢の方が多く、リハビリテーション治療や、回復期リハビリテーション病棟への転棟などで入院期間が長くなることもあります。
脳神経外科
・1番目と4番目が『頭蓋・頭蓋内損傷』となっています。頭部の打撲などで、頭蓋内に出血した場合です。1番目が手術を行っていない場合で、4番目が手術を行っている場合です。
手術としては、頭蓋内に出血した血を抜くなどの手術を行っています。出血の量などによっては手術を行わない症例も多くなっています。
・2番目は『非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜外血腫以外)(JCS10未満)』となっています。脳の血管が切れて出血したり、瘤が破裂して血腫ができる病気です。
1番目と4番目と同じく、手術としては、頭蓋内に出血した血を抜くなどの手術を行っています。出血の量などによっては手術を行わない症例も多くなっています。
・3番目は『てんかん』です。てんかんの発作を起こし、入院される患者様が多くなっています。
・5番目が『脳梗塞(脳卒中発症3日目以内かつJCS10未満)』で、リハビリテーションを実施した場合です。早期にリハビリを行うことにより
・より軽い後遺症で済むことが期待できます。手術するケースは少なく、投薬や注射の薬物療法とリハビリテーション等で治療を行う場合が多いです。
・平均在院日数は、早期からのリハビリテーションを行っていますが、高齢の方が多く、全国平均より長くなっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・癌の大きさと深達度や、リンパ節への転移・遠隔転移の有無などで、StageⅠ(早期)からStageⅣ(末期)に分類します。
・当院では、初発の5大癌のうち、大腸癌・胃癌・肺癌の順で患者様が多くなっています。肝癌、乳癌の患者様は、10未満となっています。
・大腸癌の患者様はStageⅣ(末期)の患者様が多くなっており、次いで多いのがStageⅡの患者様です。
・胃癌、肺癌もStageⅣ(末期)の患者様の割合が高くなっています。
・全体的にStageⅠ(早期)の患者様の割合は低いですが、内視鏡検査などにより,早期発見、早期治療を心がけております。
・他病院からの紹介患者様も多く、手術や化学療法など、患者様の状態に沿った治療をおこなっています。
・内視鏡的治療や、腹腔鏡下手術も積極的に行っており、消化器全域にわたって、広く診療をおこなっています。
ファイルをダウンロード成人市中肺炎の重症度別患者数等
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・『市中肺炎』とは、病院以外で発症した肺炎のことです。
・当院では、中等症の患者様が多く、全体の89%となっています。
・重症度が上がるにつれ、平均年齢も高くなっていることが分かります。
・軽傷の患者様の平均在院日数は短くなっており、年齢が若く、早期に治療を開始すると、治るのも早いことが分かります。
ファイルをダウンロード脳梗塞の患者数等
・当院での脳梗塞の患者様は発症から3日以内の急性期の方が多く、全体の80%となっています。
平均年齢も約76歳と高齢となっています。
・平均在院日数は、リハビリテーションを積極的に行う回復期リハビリテーション病棟へ転棟することにより、長くなっています。
当院は早期からリハビリテーションを行っており、早期の社会復帰を目指しています。
・転院率が低いことは、治療やリハビリテーションなどにより、自宅へ戻られた患者様が多いことを示しています。
ファイルをダウンロード診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
「Kコード」・・・ 診療報酬点数表の手術コードのこと
「術前日数」・・・入院日から手術日までの日数(手術日を含まない)
「術後日数」・・・手術日から退院日(転院日)までの日数(手術日は含まない)
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・大腸ポリープにに対する手術が一番多くなっています。この手術は外科においても実施されていますが、件数では内科での件数が多くなっています。
内視鏡での手術のため、術前日数と術後日数は少なくなっています。
・2番目は、経口摂取が不良のため、胃瘻を造設する手術が多くなっています。胃瘻とは、胃から直接栄養を摂取するカテーテルを取り付けることです。
術前日数と術後日数が長くなっていますが、この手術が目的で入院した場合ではなく、他の疾患で入院し、入院途中で嚥下機能低下などにより、胃瘻の造設が必要になったことや、療養病棟に転棟される方などで術前術後の日数が長くなっています。
・3番目は、結石や腫瘍により、胆道の通過障害が起こった場合に、ステントと呼ばれる筒を胆道に留置する手術です。
・4番目は、胃潰瘍などの出血のときに、内視鏡により止血を行う手術です。転院率が低いことは、治療やリハビリテーションなどにより、自宅へ戻られた患者様が多いことを示しています。
・5番目は、「ペースメーカー交換術」となっています。ペースメーカーは10年程度ごとに電池の交換の必要があります。局所麻酔で電池を取り替える手術を行います。
外科
・外科でも、内科と同じく、大腸ポリープに対する手術が一番多くなっています。
・2番目は、『腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術』となっています。術前日数が短いのは、入院当日に手術を行う場合が多いからです。
・3番目は、『抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他)』となっております。抗がん剤治療を始めるにあたり、注入するためのカテーテルを埋め込む手術です。
・4番目は、『中心静脈注射用埋込型カテーテル設置(頭頚部その他)』となっております。高カロリー輸液等を注入するためのカテーテルを積極的におこなっております。
・5番目は、『腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術』です。結腸がんに対しての根治手術となります。当院では、より侵襲性の低い腹腔鏡手術を積極的におこなっております。
整形外科
・1番目の『骨折観血的手術(上腕)』は、上腕骨骨折に対して行われます。ネイルと呼ばれる髄内釘等による固定を行います。
術後の日数が長くなっていますが、これは高齢の患者様が多く、術後のリハビリテーション期間が長くなっている患者様が多いので長期になっています。
・2番目は、『人工骨頭挿入術(股)』となっています。この手術は、大腿骨頸部骨折に対して行われます。インプラントの骨頭を大腿骨の骨頭に置き換える手術です。この手術も術後日数が長くなっていますが、こちらも回復期リハビリテーション病棟へ転棟される患者様が多いので、長期になっています。
・3番目は、『骨折観血的手術(鎖骨)』となっています。鎖骨の骨折に対して、プレートやワイヤーで固定を行う手術となっています。転院率は低く、ほとんどの患者様が、自宅へと帰られています。
・4番目は、『骨内異物(挿入物を含む。)除去術(鎖骨)』となっています。予定手術の場合が多いため、術前日数が短くなっています。
・5番目は、『骨内異物(挿入物を含む。)除去術(下腿)』となっています。4番目と同じく予定手術の場合が多いため、術前日数が短くなっています。
脳神経外科
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・1番目は、『慢性硬膜下血腫洗浄・除去術(穿頭)』となっています。慢性硬膜下血腫の患者様に対し、頭蓋内に小さな穴を開けて、血を抜きます。
・2番目は、『脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成)』となっています。この手術は、頚部脊柱管狭窄症や、頚椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症や、腰椎椎間板ヘルニアなどの脊椎の病気に対して行われる手術で、椎弓を後ろに切り開いて脊柱管を再形成する事で脊髄の圧迫を取る手術です。
・3番目は、『脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除)』となっています。この手術は、頚部脊柱管狭窄症や、頚椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症や、腰椎椎間板ヘルニアなどの脊椎の病気に対して行われる手術で、椎弓を切除することで脊髄の圧迫を取る手術です。
・4番目は、内科の2番目と同じ『胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術を含む)』になっています。内科と同じく、療養病棟に転棟される方などで術前術後の日数が長くなっています。
・5番目は、『椎間板摘出術(後方摘出術)』となっています。主に椎間板ヘルニアの手術で行います。腰椎の一部を削り、椎弓の一部を切除してヘルニアを摘出する手術です。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・この指標にある『播種性血管内凝固症候群』と『敗血症』は、点数が高く設定されています。両疾患とも全身性の重篤な病気です。 入院の契機となった病名が、これらの病気と同一か異なるかを表しています。そして、その症例数と発生率を示しています。
・入院契機病名と異なる場合が多いのは、他の疾患で入院し、全身状態が悪化し、『播種性血管内凝固症候群』や『敗血症』 になった場合です。
・『播種性血管内凝固症候群』の入院契機病名と異なる場合は、肺炎などの呼吸器疾患や、脱水症などの内分泌疾患が多く、次いで 腎盃腎炎などの尿路系疾患となっております。
・『敗血症』の入院契機病名と同一の場合は、近隣の病院やかかりつけの診療所などからの紹介の患者様が重篤となり入院される場合です。 入院契機と異なる場合は、腎盃腎炎などの尿路系疾患が一番多く、次いで肺炎などの呼吸器系疾患となっており、この2つで大部分を占めます。
・『その他の真菌感染症』はカンジタ等の真菌感染症です。
・『手術・処置等の合併症』はカテーテル感染症等です。これは症例数が少なくなっていますが、すべてのケースで、入院契機と同じ病名で入院 されています。併症は術後等の感染症ですが、発生率は、入院契機病名と同一の場合で0.33%、異なる場合は0%と低くなっています。
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- 2021年9月25日 新規作成