令和6年度 山本第三病院 指標
- 目次 -
- 1. 年齢階級別退院患者数
- 2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 5. 脳梗塞の患者数等
- 6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
- 8. 医療の質指標
年齢階級別退院患者数
10歳代から入院されていますが、70歳以上の方が多く、これらの方で全体の8割以上を占めています。
1番多い年代は、80歳代で全体の37%となり、次いで多いのが70歳代で全体の28%となっています。
これらの数値からも、地域の高齢者社会を反映しているものと考えられます。
ファイルをダウンロード診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
・『誤嚥性肺炎』が一番多い疾患となっています。高齢の患者様で嚥下の悪い方が誤嚥して発症するのが『誤嚥性肺炎』です。
当院では、誤嚥性肺炎の再発予防の為、嚥下機能訓練を積極的に行っています。
・2番目に多い疾患は、『腎臓または尿路の感染症』となっています。
腎臓などが細菌に感染する急性腎盃腎炎が多く、高齢の方に多い病気です。
・3番目に多い疾患は、『体液量減少症』となっています。『体液量減少症』とは、脱水症のことです。
近年の高温化の影響で多くなっていると考えられます。
・4番目に多い疾患は、『肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上)』となっています。年配の方が呼吸器感染すると肺炎まで移行するケースが多くなります。
・5番目に多い疾患は、『小腸大腸の良性疾患』となっています。大腸の良性ポリープ等を内視鏡的に切除を行っています。
・平均在院日数は、全国平均より長くなっていますが、当院は高齢の方が多く、疾患の再発が多くなり、入院期間が長くなる傾向にあります。
外科
・外科で1番目と2番目に多い疾患は。『結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍』となっています。結腸がんに対して、抗がん剤を投与する化学療法を行っています。
1番目と2番目の違いは、選定する抗癌剤の種類に違いがあります。
・3番目に多い疾患は、内科の5番目と同じく『小腸大腸の良性疾患』となっています。大腸の良性ポリープ等を内視鏡的に切除を行っています。
・4番目に多い疾患は、『直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍』となっています。直腸がんに対して、抗がん剤を投与する化学療法を行っています。
・5番目は、『鼠径ヘルニア(15歳以上)』となっています。鼠径ヘルニアに対して、メッシュでヘルニア門を閉じる手術を行っています。状態に応じて、開腹、腹腔鏡手術を選んでおります。
・平均在院日数は、『鼠径ヘルニア(15歳以上』以外は全国平均並となっております。スケジュールを組み、予定入院、予定退院とすることにより短くできていると考えます。
・当院では、患者様の体の負担の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っています。
整形外科
・整形外科で1番目に多い疾患は『股関節・大腿近位の骨折』の患者様です。転倒などにより受傷する場合が多いです。
人工骨頭挿入術や、γ-ネイルと呼ばれる髄内釘を使っての骨折観血的手術を行います。
・2番目は『胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む)』となっています。
高齢の患者様が腰痛で受診され、骨折と診断される場合が多くなっています。
・3番目に多い疾患は、『骨盤損傷』となっています。尻餅をつかれ受傷されることが多くなっています。
・4番目に多い疾患は、『脊柱管狭窄(脊椎症を含む)腰部骨盤、不安定椎』となっています。様々な要因により、脊椎に障害がおこり痛みを
誘発する病気です。コルセットによる固定を行い、早期より、リハビリを行っています。
・5番目に多い疾患は、『肩関節周辺の骨折・脱臼』となっています。上腕骨の肩関節に近い部分を骨折された場合です。
プレート、髄内釘などで固定手術を行っています。
・平均在院日数は、全国平均より長くなっております。高齢の方が多く、リハビリテーション治療や、回復期リハビリテーション病棟への転棟などで入院期間が長くなることもあります。
脳神経外科
・1番目は『てんかん』です。てんかんの発作を起こし、入院される患者様も多くなっております。
・2番目と4番目は『脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)』となっております。
双方の違いは、脳保護剤を投与した場合としなかった場合の違いとなっています。早期にリハビリを行うことにより、より軽い後遺症で済むことが期待できます。手術をするケースは少なく、投薬や注射の薬物療法とリハビリテーション等で治療を行う場合が多いです。
・3番目と5番目が『頭蓋・頭蓋内損傷』となっています。頭部の打撲などで、頭蓋内に出血した場合です。
3番目が手術を行っていない場合で、5番目が手術を行っている場合です。
手術としては、頭蓋内に出血した血を抜くなどの手術を行っています。出血の量などによっては手術を行わない症例も多くなっております。
・平均在院日数は、早期からのリハビリテーションを行っていますが、高齢の方が多く、全国平均より長くなっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・癌の大きさと深達度や、リンパ節への転移・遠隔転移の有無などで、Stage1(早期)からStageⅣ(末期)に分類します。
・当院では、初発の5大癌のうち、大腸癌・肺癌・胃癌の順で患者様がおおくなっています。
・大腸癌の患者様はStageⅢ(中期)の患者様がおおくなっております。
・肺癌、胃癌はStageⅣの患者様の割合が高くなっています。
・StageⅠ(早期)の患者様の割合は低いですが、内視鏡検査などにより、早期発見、早期治療を心がけております。
・他病院からの紹介患者様も多く、手術や化学療法など、患者様の状態に沿った治療を行っています。
・内視鏡治療や、腹腔鏡手術も積極的に行っており、消化器全域にわたって、広く診療をおこなっています。
ファイルをダウンロード成人市中肺炎の重症度別患者数等
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・『市中肺炎』とは、病院以外で発症した肺炎のことです。
・当院では、中等症の患者様が多く、全体の74%となっています。
・重症度が上がるにつれ、平均年齢も高くなっていることが分かります。
・軽傷の患者様の平均在院日数は短くなっており、年齢が若く、早期に治療を開始すると、治るのも早いことが分かります。
ファイルをダウンロード脳梗塞の患者数等
・当院での脳梗塞の患者様は発症から3日以内の急性期の方が多く、全体の81%となっています。
平均年齢は、約79歳と高齢になっています。
・平均在院日数は、リハビリテーションを積極的に行う回復期リハビリテーション病棟へ転棟することにより、長くなっています。
当院は早期からリハビリテーションを行っており、早期の社会復帰を目指しています。
・転院率が低いことは、治療やリハビリテーションなどにより、自宅へ戻られた患者様が多いことを示しています。
ファイルをダウンロード診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
「Kコード」・・・ 診療報酬点数表の手術コードのこと
「術前日数」・・・入院日から手術日までの日数(手術日を含まない)
「術後日数」・・・手術日から退院日(転院日)までの日数(手術日は含まない)
・大腸ポリープに対する内視鏡手術が一番多くなっています。この手術は外科においても実施されていますが、件数では内科での件数が多くなっています。
・2番目は、経口摂取が不良のため、胃瘻を造設する手術が多くなっています。胃瘻とは、胃から直接栄養を摂取するカテーテルを取り付けることです。
術前日数と術後日数が長くなっていますが、この手術が目的で入院した場合ではなく、他の疾患で入院し、入院途中で嚥下機能低下などにより、胃瘻の造設が必要になったことや、療養病棟に転棟される方などで術前術後の日数が長くなっています。
・3番目は、『内視鏡的消化管止血術』となっています。胃潰瘍や直腸潰瘍での出血に対し、内視鏡により止血を行う手術です。転院率が低いことは、治療や、リハビリテーションなどにより、自宅へ戻られた患者様が多いことを示しております。
・4番目は、結石や腫瘍により、胆道の通過障害が起こった場合に、ステントと呼ばれる筒を胆道に留置する手術です。
・5番目は、『内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみのもの)』と『内視鏡的乳頭切開術(胆道砕石を伴う)』となっています。十二指腸の乳頭と呼ばれる部分に切開を加え、胆道にアプローチする手術です。砕石具を使い石を砕く場合と使わなかった場合とがあります。
外科
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・1番目は、内科で2番目に多かった『胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む。)』です。
・外科の場合、他院より依頼され施行する場合が多くなっています。なので術前の日数が短くなっています。
・2番目は内科の1番目である大腸ポリープに対する手術が多くなっています。
・3番目は、『鼠径ヘルニア手術』となっております。鼠径ヘルニアは年配の男性に多い疾患です。
・4番目は、『内視鏡的胆道ステント留置術』となっています。胆嚢でできた結石が落下して胆管胆石になった場合によく行われます。
後に、胆嚢摘出術を行う場合も多いです。
・5番目は、『抗悪性腫瘍剤静脈持続注入用埋込型カテーテル設置(頭頚部その他)』となっています。
抗がん剤治療を始めるにあたり、注入するためのカテーテルを埋め込む手術です。
・当院では、患者様の侵襲の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っております。
整形外科
・1番目多い手術は『骨折観血的手術(大腿)』が多くなっています。Γγ-ネイルという髄内釘での固定が多くなっています。
・2番目は『人工骨頭挿入術(股)』です。この手術は、大腿骨頚部骨折に対して行われます。インプラントの骨頭を大腿骨の骨頭に置き換える手術です。
・3番目は『骨折観血的手術(鎖骨)』です。鎖骨は骨折しやすい場所です。プレート固定がよく行われます。
・4番目は『骨折観血的手術(前腕)』となっています。ここも、転倒して手をついた場合に骨折したすい場所です。ここもプレートで固定する場合が多くなります。
・5番目は『関節鏡下関節滑膜切除術(膝)』です。変形性膝関節症などで、関節鏡を使い膝関節内の炎症を起こして肥厚している滑膜を切除する手術です。
・全体的に術後の日数が長くなっておりますが、原因は、患者様の平均年齢が高いためと考えられます。
脳神経外科
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・1番目は、『慢性硬膜下血腫洗浄・除去術(穿頭による)』となっています。慢性硬膜下血腫の患者様に対し、頭蓋内に小さな穴を開けて、血を抜きます。
・2番目は『脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(椎弓形成)』となっています。
この手術は、頚部脊柱管狭窄症や頚椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどの脊椎の病気に対して行われる手術で、椎弓を形成することで脊髄の圧迫を取る手術です。
・3番目は、内科の2番目、外科の1番目と同じ、『胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む)』になっています。
内科と同じく、療養病棟に転棟される方などで術前術後の日数が長くなっています。
・4番目は『脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(後方椎体固定)』となっています。
この手術も、2番目と同じく、頚部脊柱管狭窄症や頚椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどの脊椎の病気に対して
行われる手術で、椎体を固定することにより安定を得、症状の軽減を図ります。
・5番目は『顕微鏡下腰部脊柱管拡大減圧術』です。頚部、腰部脊柱管狭窄症椎間板などで狭くなっている脊柱管を広くする手術となっています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・この指標にある『播種性血管内凝固症候群』と『敗血症』は、点数が高く設定されています。両疾患とも全身性の重篤な病気です。 入院の契機となった病名が、これらの病気と同一か異なるかを表しています。そして、その症例数と発生率を示しています。
・入院契機病名と異なる場合が多いのは、他の疾患で入院し、全身状態が悪化し、『播種性血管内凝固症候群』や『敗血症』 になった場合です。
・『播種性血管内凝固症候群』の入院契機病名と異なる場合は、肺炎などの呼吸器疾患や、脱水症などの内分泌疾患が多く、次いで 腎盃腎炎などの尿路系疾患となっております。
・『敗血症』の入院契機病名と同一の場合は、近隣の病院やかかりつけの診療所などからの紹介の患者様が重篤となり入院される場合です。 入院契機と異なる場合は、腎盃腎炎などの尿路系疾患が一番多く、次いで肺炎などの呼吸器系疾患となっております。
・『その他の真菌感染症』はカンジタ等の真菌感染症です。
・『手術・処置等の合併症』はカテーテル感染症等です。これは症例数が少なくなっていますが、すべてのケースで、入院契機と同じ病名で入院
されています。合併症は術後等の感染症ですが、発生率は、入院契機病名と同一の場合で0.32%、異なる場合は0%と低くなっています。
医療の質指標
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
上記の数値は、術後、肺血栓塞栓症発症の高リスク手術時に予防措置を講じている患者の割合を表しています。
血液培養2セット実施率
上記の数値は、血液培養を左右の血管等より採血を行ない幅広い評価をおこなっているかの数値となります。
片方は陰性で、もう片方は陽性であったりの結果が出る場合があるので、幅広い評価が必要となっております。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
上記の数値は、広域ベクトルの抗菌薬を処方した患者様に対して、細菌培養検査をどれだけ行なっているかの数値となっております。
きちんと検査を行ない、効果の高い抗菌薬を投与することが重要となっております。
転倒・転落
この指標は、入院中にどのくらい転倒もしくは転落があったかの数値となります。発生率は1.31%と高くはないですが
手すりや、ベット柵の設置によりさらなる発生率の低下を目指します。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
この指標は、前の転倒、転落の内、影響が高かった事例の率です。発生率は0.18%となっています。
発生率からしても、ごく一部であったことがわかります。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
この指標は、全身麻酔での手術のときに、予防的に抗菌薬が投与されていたかの数値となっております。
当院では、全身麻酔下での手術の場合、100%投与して感染の予防に努めております。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
この指標は、入院患者に対しての褥瘡の発生率を表しております。発生率は0.16%と高くはありません。
当院は、栄養管理の徹底や積極的な体位交換など多角的に褥瘡対策を行っております。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
この指標は、65歳以上の患者に対して48時間以内に栄養のアセスメントを実施したかの指標となります。
98.09%と高く、早期に介入し対応しております。
身体的拘束の実施率
この指標は、入院患者に対し、身体的拘束を行った率を表しております。
22.21%と高くなっていますが、当院は高齢の患者様が多く、不穏状態になったりし身体的拘束がやむなしの場合があります。
状態が落ち着けば早期に拘束の解除を行っております。
更新履歴
- 2025年9月24日 新規作成